活動レポート

岡山大学Alumni(全学同窓会)グローバル人材育成支援事業
グローバル人材自己啓発奨励金事業体験レポート

岡山大学経済学部4年 坂上 帆夏

外務省主催 第35回 国際問題プレゼンテーションコンテスト(2019.10.5)

1.概要

 外務省主催の国際問題プレゼンテーションコンテストに参加し、奨励賞を受賞しました。留学生の友人の話から、日本に存在する人種差別を無くしたいと感じた経験をきっかけに応募しました。国際問題を専攻として学ぶ参加者が多い中、マーケティング論を専攻する自身の国際問題に対する知識の浅さが課題でしたが、その弱みを逆に強みと捉え、国際問題にあまり詳しくない一般の人でも取り組むことのできる行動指針の提案を行いました。結果、独創性が評価され、奨励賞を頂くことができました。

2.提案要旨

 今回のテーマは「外国人の受入れと共生社会の実現」でした。私は、外国人の人権問題が社会問題となっている日本の現状から課題を外国人と日本人とが交流する機会の少なさとし、それらを解決するために「3つの“わ”のアクション」と名付けた外国人と日本人間での交流の促進を目指す行動指針の提案を行いました。(表1参照)

 現在、日本は改正出入国管理法が 2019 年 4 月に施行され、地方にも多くの外国人の受け入れが求められる一方で、インターネット上での人種差別的発言、ヘイトスピーチや、不適切かつ差別的な低賃金での外国人労働者の就労など外国人への人権問題が色濃く残っています。このような状況下では私のテーマである「外国人の受入れと共生社会の実現」は達成できません。テーマを実現し、外国人に「日本で住みたい・働きたい」と思ってもらうには、日本の隅々まで、これらの人権問題の基である差別を抑制することが重要です。差別は「予断」や「偏見」から生じると考えられています。日本は島国であり、外部からの流入が少なかったという地理的要因からこの「予断」や「差別」が生じやすいとされています。具体的には、日本人は外国人と関わった時間が少ない為に、インターネットなどの他人からの情報をすべて鵜呑みにしてしまうことで「予断」が生まれ、関わった外国人の数の少なさから、ある1人の個性をある種の集団の特徴だと考える「偏見」が生まれやすいとされています。こうした状況を踏まえ、いかに日本人と外国人との交流を促進し、外国人を集団としてではなく一つの個性として理解するかが課題であると捉えました。

 確かに、差別を抑制するためには「社会の受け入れ体制」を整えることも必要不可欠です。実際に、外国人差別と向き合い、「社会の受け入れ体制」を整えるために 2016 年にはヘイトスピーチ解消法が施行され、各関係省庁のみならず、多くの地方自治体、民間企業もヘイトスピーチを抑制するための啓発活動を行っています。しかし、ヘイトスピーチ解消法が施行され、3 年が経過した現在でも、インターネット上でのヘイトスピーチは後を絶ちません。いくら「社会の受け入れ体制」のみを整えても、私たち1人 ひとりの「こころの受け入れ体制」の整備ができていなければ、人権問題の根幹は解決できず、一時的に差別が解消したとしても再び繰り返されるだけです。日本人と外国人との交流の場を創造し、「社会の受け入れ体制」だけでなく国民の「こころの受け入れ体制」の整備も図り、外国人に「日本で働き・住むことが幸せ」と思ってもらえなければ、継続的な就労・暮らしは難しく、持続可能な共生社会の実現はできません。

 私が提案した「3つの“わ”のアクション」と名付けた行動指針では、外国人と日本人間の交流を徐々にステップアップし、国民 1人 ひとりの「こころの受け入れ体制」の整備を図ります。また、各々の課題(アクション)の実現のために、各関係省庁、地方自治体、民間企業が連携する具体的なイベントも企画しており、特に地方を重点的にターゲットとした差別を生み出さない持続可能な共生社会の実現を目指しています。

 

【表1】

課題(アクション) イベント
コミュニケーションをとり、交流のきっかけをつくる。 “どこでも日本語教室”
共通コミュニティで交流範囲を拡げ、相手を 「理解する」。 “ダイバーシティ住民組織”
互いの文化理解で交流を深め、価値観を「尊重」し、 仲よくする “ニュー・カルチャー料理教室”

3.今後の展望

 今回、コンテストに参加し、多くの優秀な学生、有識者の方々と交流し、刺激を受けました。
初めてのプレゼンテーションコンテストへの応募でしたが、周りの方々のおかげで賞を受賞することができ、改めて感謝の気持ちを伝えたいです。
 私は、将来、グローバル人材として世界と地域を結ぶ懸け橋となりたいと考えています。現在は、今後予定しているイギリス留学に向け、語学の勉強や留学先での実践活動に向けて準備しています。

4.参照

外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/dpr/page6_000402.html

地元愛媛新聞インタビュー記事
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201910060052