活動レポート

岡山大学 Alumni(全学同窓会)
グローバル人材育成支援事業 グローバル人材自己啓発奨励金事業 体験レポート

岡山大学 工学部 工学科 情報・電気・数理データサイエンス系 3年
越智勇翔

 

National Model United Nations in New York, the USA 2025
(2025.04.06~04.10)

 私は2025年4月6日から4月10日にかけて開催されたNational Model United Nations (NMUN)・NYに参加した。NMUNでの活動内容を、大会に向けての準備、大会期間中の活動、そして大会後の振り返りに分けて報告する。

 

大会に向けての準備

 大会に向けて本格的な準備を始めたのは2025年1月からである。今回NMUNに参加するチームの準備においてはリーダーであったため、自分の準備とチームのサポートを同時並行で行っていた。自分の準備は次のようにして行った。①:バックグラウンドガイドと呼ばれる会議の背景知識が書かれた資料を読む。②:自分の担当する国に関するリサーチを行う。③:自分の担当する会議に関するリサーチを行う。④:①②③を踏まえて自分の国の国益を考え、戦略を練る。⑤他国に関するリサーチを行い、戦略をブラッシュアップする。私は the Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons (OPCW)という化学兵器抑止の会議を担当し、担当国はラトビアであった。核兵器禁止条約を過去複数回にわたって違反しているシリアやロシアに対し国家レベルでの制裁を加えることを目的とした政策づくりと戦略作成に励んだ。またチームのサポートとしては定期的にオンラインミーティングを開催し、各々の進捗状況を報告してもらうようにした。また、エレベーターピッチを行ったり、事前にworking paperに盛り込みたい事項を考えたりすることを促し、大会で即活用できるスキルを身に着けるための機会を何度も設けた。

 

大会期間中の活動

 大会は5日間にかけて行われた。

大会1日目
 大会1日目は開会式と8回あるCommittee Session のうち第1回目があった。開会式から名刺配りと第1回目のセッションで行われる議題決めの議論が行われていた。これまでにこれほど人が動き回り、各自コミュニケーションをとる場は見たことがなかったため、非常に刺激的だった。第一回目のセッションでは2つのトピック、 Achieving Universality of the Chemical Weapons Conventionと Preventing the Use of Chemical Weapons by Non-State Actorsのうちいずれを話し合うかを話し合いにより決定した。結果的に採用されたのは後者の議題であった。自分が優先していた議題が前者であったため、これまでに作成した戦略を練り直す必要に迫られた。

大会2日目
 大会2日目は大会1回目で採択された議題をもとに実際的な議論が行われた。まず、自分の伝えたいことを短くまとめ、いろいろなグループに話しかけに行き、自分の政策を伝えるということを繰り返した。コミュニケーションをとる中で、ロシア、クロアチアを始めとした欧州の国々と政策が似ていることが判明し、グループを作成することとなった。このグループでは主に Chemical Weapons Convention (CWC)に違反している国々に対して情報共有や検査を促進することを重要視するという点で合意していた。

大会3日目
 大会3日目はworking paper と呼ばれる決議案を作成するための文書作りに多くの時間を割いた。大会2日目よりグループの参加国が多くなり、トピックごとに小グループに分かれて議論を行うことになった。私のグループは化学兵器抑止のための技術を向上させる政策を立案した。ここでようやく自分のリサーチ内容をグループ内で共有することができ、自分の存在意義を感じることができた。


グループで話す様子

大会4日目
 大会4日目はほとんどworking paperの仕上げに時間をかけた。文章を練り直すための時間と、全体での振り返りを行う時間が多く、自分が発言できる機会が少なかった。しかし、formal sessionと呼ばれるセッションでスピーチを行うことができた。緊張したものの、自分の伝えたいことは伝えることができた。


スピーチの様子

大会5日目
 大会5日目はほとんどが作成された決議案の修正と投票に費やされた。ここでも自分たちがアクションを起こすことができず、周りの様子をうかがう形になった。ただ、空き時間で何人かの参加者とフレンドリーに会話をすることができた。相手が自分のペースに合わせてくれるため、自分も伝えたいことが伝えられて今大会で初めてちゃんとコミュニケーションが取れているという実感を得られた。結果的に私たちのグループが作成した決議案は過半数賛成で可決された。その後は閉会式で国連本部を訪問することができた。人生で二度とない経験を積むことができた。


国連本部で撮った写真

大会後の振り返り

準備段階での反省
 まず、事前準備の不足を痛感した。特に、Rules of Procedure(議事進行規則)を深く理解していなかったことは大きな反省点である。実際の会議ではルールの理解度が議論の流れや発言機会に直結するため、事前にもっと時間をかけるべきだったと感じた。また、アジェンダの採択の可否が会議全体の進行を大きく左右することを十分に意識していなかったため、シナリオを想定した準備が足りなかった。
 さらに、スピーチの練習も不十分であった。英語で言いたいことを簡潔にまとめ、堂々と伝える技術を高めておけば、大会本番での発言にもつながったはずである。研究内容の知識や背景理解は進めていたものの、それを実際の議論やスピーチに活かす練習が不足していたことが悔やまれる。

大会での反省
 大会本番では、良い点と課題の両方があった。
良い点としては、積極的な行動ができたことが挙げられる。普段ならためらう場面であっても、オープニングセレモニー前に勇気を出して他のdelegatesの輪に入り、会話を始めることができた。この積極性のおかげで、その後も交流を続けることができ、全体を通じて多くの人と関わることができた。また、難しい状況でもあきらめず、小グループで自分のリサーチを共有し、貢献できた場面は大きな達成感につながった。

 一方で課題も多い。まず、大グループでの議論では発言できなかった点がある。英語での議論のスピードについていけず、何を話しているのか十分に理解できないまま声を上げられず、指名されるまで発言できなかった。自分の理想と現実とのギャップにショックを受け、消極的になってしまった部分もある。

 また、スピーチの内容が不十分であったことも大きな反省点である。議論の深まりが足りず、ワーキンググループ全体像の把握も不十分だったため、内容のあるスピーチを行うことができなかった。自信のなさが緊張を呼び、これまでの模擬国連で経験した堂々とした発表ができなかった。さらに、せっかく準備していたことを会議中に十分に活かせなかったことも悔やまれる。

成長と学び
 こうした反省の一方で、多くの成長も得られた。外国人との会話に慣れ、特に一対一であれば自分の英語でも会話を続けられるという自信がついた。また、自分から積極的に話しかける姿勢を持てたこと、仲間と一緒にいることで落ち込んでも気持ちを立て直せたことも収穫である。笑顔で接することが雰囲気を良くする力になることも実感した。

 MUN参加者としては、プロシージャに慣れるとともに、言葉だけでなく絵や図を用いて自分の考えを説明できる工夫も身につけた。また、自分には「いきなり大きな議論に飛び込むのではなく、小さなワーキンググループを起点に意見を共有し、徐々に広げていく方法」が合っていると気づくことができた。

 英語学習者としては、リスニング力の不足を痛感し、議論を追うためには必須の力であることを改めて理解した。スピーキングについては、長い文章を作るよりも、言いたいことを簡潔にまとめて伝える力が重要だと気づいた。
大会全体としては参加した価値が非常にあったと感じている。自分の足りない部分と自分の能力両方に気づくことができたとともに、他の参加者とのかけがえのないつながりを得られることができた。