岡山大学 Alumni(全学同窓会)
グローバル人材育成支援事業 グローバル人材自己啓発奨励金事業 体験レポート
岡山大学教育学部中学校教育コース英語教育専修 2 年
グローバル人材育成特別コース 山下友大
National Model United Nations in Erfurt, Germany 2023
( 2023.11.19~11.25 )
1. はじめに
私は、岡山大学グローバル人材育成特別コース生として、岡山大学で開講された教養教育科目「上級英語(MUN)」を 2022 年度と 2023 年度にそれぞれ 1 回ずつ計 2 回受講しました。その中で、1年生の冬は、ノートルダム清心女子大学で開催された OKAMUN(岡山模擬国連)にオランダの大使として、2 年生の夏には神戸市外国語大学で開催された JUEMUN(日本大学模擬国連)のカメルーンの大使として参加しました。今回の NMUN は、世界各地で行われている模擬国連の中でも最大規模の大会で、当然日本人の参加者も非常に少ないものになります。そのため、今までの日本での模擬国連の経験を活かしつつも、英語力、コミュニケーション力、行動力、国際理解力など自分のもてる力を最大限発揮することができた貴重な機会となりました。
2. 自分の担当国に関する調査
今回の模擬国連においては、私はヨーロッパのイタリアの代表として当日のテーマである、Corruption(汚職)と STI(持続可能な科学技術イノベーション)に関する議論を行いました。汚職に関しては、イタリアは、2012年にイタリア汚職防止局(ANAC)が設立され、国家腐敗防止計画の作成、腐敗防止、透明性、公務員の誠実さ、内部告発、公共調達の分野における活動の管理と監視を行い、公共部門における腐敗と公的資源の浪費を防止する可能にした歴史をもちます。もうひとつ、STI に関しては、国として2030アジェンダの最も重要な分野横断的課題の一つであることを認識しており実際の政府開発援助は64億7000万米ドルであり、これは世界第8位とトップクラスである中で、自国の技術力を向上させる一方で、他国の地域格差の是正の為に国際的な貢献をすることでSTIを向上させようとする活動に多く取り組んでいることが分かりました。このことから、汚職の少なさやSTIの充実した取り組みを持つイタリアは、いかに国連機関が発展途上国に対して先進国に後れを取らさないように支援を継続して行えるべきか及び各地域ごとが団結しあって解決策を見出すことを目標に今回の模擬国連に臨みました。
3. 実際のドイツの模擬国連にて
模擬国連の会議では、Formal Meeting と Informal Meetning の2つの種類の会議に分けられて進行されます。Formal Meeting においては、その委員会(今回私が参加したのはGA(総会))に属する全ての大使が指定された椅子に着席して他国の意見を聞きます。その中で、1人ずつ前に出てきて、全員の前で1分間スピーチをする機会が数回与えられます。もう一つの、Informal Meeting においては、制限時間内で、地域のブロックや似た意見を持つ大使同士でグループを作成し、決議案を作り始めます。以下では、私の体験談と写真を載せます。
① Formal Meeting
Formal Meeting においては、ペアのどちらかが全員の前で話す機会が1分間与えられます。私は、2 度日本国内での模擬国連に参加してスピーチをした経験があるので自信があると最初は自負していましたが、日本国内の模擬国連のスピーチよりも参加者全員の個性が強く、自分と真逆の主張をしていたり、ある国がある国をスピーチで批判したりと想定外のスピーチばかりでした。これは、日本人と外国の大学生との大きな違いであると考えさせられたと共に怖くなりました。しかしながら、ドイツまでせっかく来たのだから、自分の事前調査や意見を包み隠さずありのままに堂々とスピーチしたいと考え取り組むことが出来ました。その結果、多くの国の大使から、「あなたの考えもっと聞かせて」や「私も同じこと考えていたから一緒にグループ作らない。」とスピーチの成果が連帯の輪を広げていくことができとても嬉しかった瞬間でした。
② Informal Meeting
Informal Meeting においては、日本での模擬国連ならば事前に班分けされており、自分から話しかけなくても良かったのですが、NMUN においては、グループは個人に任せられているため、積極的に多くの国の大使と話し合い、いかに自分と似た意見を持った人を探すかにかかっていました。ここで、私が重視したのが、Formal Meeting における各国の大使のスピーチです。スピーチにおいて、各国の要点や願いをメモの形で残すことにより、グループに必要な大使を集めることが可能になります。このメモがカギとなり、自分が何十国もの大使を集めグループリーダーに抜擢され決議案をまとめる重要な役割を担うことが出来ました。最終的に、グループで何時間も議論をかけて作成できた決議案が全体の場において承認された瞬間は今までの中で一番努力が実った瞬間であったと実感しました。
4. おわりに
NMUN は、今まで国内で開催された模擬国連とは全く異なり、英語力や交渉力、国際理解力などがハイレベル・高度で最初は参加者さんについていくことに精一杯でした。しかしながら、自分なりに失敗を怖がらず常にチャレンジする姿勢を持ったことにより、大きな自信につながりました。私の今後の目標は、自分の経験した模擬国連を英語教育の場に取り入れることです。自分の研究している CLIL 教育(内容言語統合型学習)に模擬国連を融合させることにより、英語力の向上はもちろん、文法学習にとらわれ過ぎない実践的な英語学習により、世界を見据えて英語を武器として社会で活躍できる生徒の育成を目標にしたいです。
最後に、1年生から挑戦した国内の模擬国連から今回のドイツでの模擬国連の世界大会に参加するまでの1年間という長期間にわたり丁寧にご指導してくださった、Prichard Caleb 先生、Neil Cowie 先生にこの場を借りて心よりお礼申し上げます。